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メールやSNSなど文字を打つコミュニケーションに慣れてしまい、久々に字を書いたときに、上手く書けないなんてことに身に覚えはないでしょうか。そこで最近は、改めてアナログな道具が見直され、特に万年筆の人気が再燃しています。同じものでも使う人の筆圧によって字の表情が異なり、自分だけの好みの書き味に育てていくことができるデリケートな筆記具。その独特な書き味と個性が出る筆跡に、ハマってしまうのだそう。使い捨てのペンとは違い、じっくり長く付き合えるのも魅力。愛着が湧く1本を選ぶために、万年筆コーナーが充実している「伊東屋」でお話を伺ってきました。
1904年創業の銀座に本店を構え、海外でも姉妹ブランド「トップドロワー」を展開する、世界でも有数の文房具専門店「伊東屋」。こちらでは国内3社のほか、「ウォーターマン」や「パーカー」といった海外メーカーまで幅広くセレクト。特にスイスの「カランダッシュ」は梅田界隈で一番の品揃えを誇ります。「まずは用途を考えることから。手帳用なのか仕事用なのか。例えば手帳なら細字が便利です。ペン先で字幅が細かく選べて、書き味も素材やメーカーによって微妙に異なるので、必ず試し書きしてもらいます」と、主任の佐藤純司さん。ペン軸の中に入れたインクが、筆圧をかけることで小さな金属を2つに割ったペン先に伝わるという、デリケートな書き味の筆記具のため、太さや重さなど、手にしたときの感触もとても重要なのです。
持ち心地やデザインのほか、選ぶポイントとなるのはペン先の素材。「大きくスチールと金の2種類あり、金の方がやわらかな書き心地。スチールは硬めの傾向があり、安価でデザインも豊富なので人気です。長く使いたいという方は、腐食にも強くアフターケアもしやすい金がおすすめです」。インクについては、最も手軽で手も汚れないカートリッジと、直接インクを吸入させる方式の2種。カートリッジ式の万年筆でもコンバーターを使えば、吸入式のようにインクボトルから吸入して使えるので、好きな色のインクを使うことが可能。また、色数が限られているカートリッジと違い、コンバーターならインクボトルから吸引して使えるため、いろんな色のインクが使える楽しみもあります(一部使用できないモデルも)。
佐藤さんに選んでもらったこれらの万年筆は、末永く愛用し続けたい品々。左の黒い万年筆は、重心の位置が通常より下(ペン先に近い方)にあり、無駄な筆圧をかけずに長時間の筆記がラクに。中央のイタヤカエデを使った温かみのある木軸は、使い込むほどに艶が増し、経年変化も楽しめます。右のセルロイドは、独自の製法で美しく、均一の柄が施されたプラチナ社のもの。「お手入れは私の経験から言うと、日々使ってもらうのが一番」と、佐藤さん。また、インク詰まりの場合はペン先をひと晩水に浸すだけ、といったメンテナンス方法を教えてくれたり、修理時にはメーカーへの対応もおこなってくれます。ほかに、最短は即日で名入れをしてくれるサービス(一部のモデルのみ、混雑状況により所要日程変動)も。この春万年筆デビューしてみたい方や、年度初めで新しい1本をお探しの方、ぜひ足を運んでみて。
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